戦極20章 本戦が開幕
戦極20章の本戦が、9月15日(日)豊洲PITにて開催された。全国に散らばる猛者のMCたちが、一堂に会するこの大会。日本で開催されているMCバトルの大会の中でも、戦極のナンバリングシリーズは規模が大きく、かのUMBと並んで、「MCバトルの日本一を決める大会」とさえ言われている。
優勝賞金は、破格の100万円。
全国の予選で結果を残してきた31名の叩き上げMCたちと、シーンでの知名度と圧倒的な実力を兼ね備えた17名のゲストバトラーが、優勝賞金とプロップスを求めて戦極20章の頂点を目指す。
戦極20章の優勝候補は?
戦極20章の優勝候補はどのMCだろうか? 管理人の私見では、下記の3名に絞られるように思う。
大本命「呂布カルマ」
やはり、この男を優勝候補から外すことはできないだろう。フリースタイルダンジョン2代目モンスターとしてR‐指定以上の勝率を誇る活躍を見せ、KOK2018では念願のビッグタイトルを手にした呂布カルマ。切れ味抜群のディス、随所に仕込まれている粋な韻、卓越したリズムキープ、どれをとっても一流である。最近は、KOK2018で燃え尽きたのか、MCバトルへの若干の飽きも見られるが、それでも勝ってしまうのだからすごい。戦極20章の優勝候補、大本命は、呂布カルマで間違いないだろう。
▽KOK2018の詳細なレポートは下記の記事をチェック
KOK2018本戦の結果!優勝は呂布カルマ|出場MCや全バトルまとめ - MC烏龍茶の随筆
超新星「Authority」
UMB2018で準優勝を果たし、一気にシーンの中心へ躍り出たAuthority(オーソリティー)。戦極20章本戦の予選であるU-22 MCBATTLE FINAL 2019では、確かなスキルを魅せてしっかりと優勝し、実力で戦極20章に乗り込んできた。凱旋MCバトルでも素晴らしい成績を収めており、UMB2018の準優勝がまぐれではなかったことを証明し続けている。多彩なライミングスキルと、話の筋を通すライン展開が強み。間違いなく、今一番勢いのあるMCなので、勢いそのままに戦極20章を奪い取ってもおかしくない。
▽UMB2018の詳細なレポートは下記をチェック
UMB2018本戦の結果!優勝はMU-TON(ムートン)|全バトルレポ - MC烏龍茶の随筆
無冠の帝王「RAWAXXX」
優勝候補として最後に挙げるのは、宮崎の無冠の帝王、RAWAXXX(MOL53)だ。実力的には大きなタイトルを獲得していてもおかしくないのだが、今一歩のところで勝ち切れない。おそらく、本人に執着がないからだと思うが、そろそろビッグタイトルを獲得してもいいだろう。本人にその気がないとしても、ヘッズたちはRAWAXXXが優勝するところを見たいと思っている。本気で勝ちにいっているときの強さは異常なので、ぜひそれが見たい。
戦極20章 本戦 全バトル結果レポート
それでは、戦極20章本戦の結果レポートを記していく。1回戦から決勝まで、すべての試合をレポート。
戦極20章 1回戦
第1試合 百足 vs ミステリオ
戦極20章第1試合は、若手同士のフレッシュな対決。百足は、相変わらずのライミングスキルでカッコよくラップ。対するミステリオは、1バース目でKBDの真似をするというギャグで観客を沸かせた。3バース目で百足が盛り返すと、ミステリオはそれに対応できず。
勝者 百足
第2試合 BATTLE手裏剣 vs ゆうま
グルーヴィーな乗せ方で観客を沸かせるBATTLE手裏剣。ゆうまは、持ち味である下ネタを駆使してBATTLE手裏剣を攻め立てる。「赤ちゃんにとって、ま〇こは世界への入り口」というパンチラインも飛び出すが、BATTLE手裏剣のペースを崩せなかった。
勝者 BATTLE手裏剣
第3試合 MC松島 vs カツヲ
のっけから消費税増税について話し始めるという、自分ワールド全開のMC松島。カツヲは、MC松島のペースに乗らず自分のラップを提示する。MC松島はそこを見逃さず、「消費税増税の話にアンサーがねえ。生活したことねえのか?」とユーモラスなディスをお見舞い。会場も爆発的に湧き、MC松島が勝利。
勝者 MC松島
第4試合 梵頭 vs HYDRO
最近、凱旋などで知名度を上げてきているHIKIGANESOUNDのボス、梵頭。持ち味である、草ネタや皮肉なディスを武器に、HYDROを攻め立てる。HYDROも、滑らかなフローで対抗し、勝負は延長へ。内容は拮抗していたが、得意の草ネタで2バース目を締めた梵頭が勝利。
勝者 梵頭
第5試合 9for vs Novel Core
第11回高校生ラップ選手権の決勝が、戦極20章で再現。Core Boyから改名したNovel Core。先攻から「かたじけねえ、かましてねえ」など、的確なライミングで魅せていく。それに対し、「中身がねえな」と踏み返す9for。これは上手いと思ったが、3バース目でNovel Coreが覚醒。「ゆりかもめ、無理かもね」「好きになるきっと、クリティカルヒット」のラインで会場をぶち上げ、勝利した。
勝者 Novel Core
第6試合 だーひー vs ヒダディー
だーひーは、相変わらずの熱量と徹底したセルフボースでラインを展開。対するヒダディーは、けっこうグダグダだった……。面白いバトルだったんだけど、内容はだーひーの圧勝。
勝者 だーひー
第7試合 言×theanser vs 早雲
言×theanserのライミングスキルは昔と変わらず。固い韻で早雲を攻め立てる。早雲は、「人気はヒップホップのバロメーターにならねえ」とアイドルラッパー化した言×theanserを強烈ディス。3バース目、言×theanserは韻を捨てて早雲に持論を説くが、早雲の3バース目「ビートが小さいなんていうな、ビートはでかくてなんぼだぜ」のラインが会場をロックし、早雲が圧勝。
※本戦が始まる前の音響チェックで、観客はビートが大きいと意見。ビートの音が少し小さくされた。
勝者 早雲
第8試合 ミメイ vs ダースレイダー
2バース目が終わるまでは互角だったけど、3バース目でミメイが地力を発揮。
勝者 ミメイ
第9試合 裂固 vs CJ
バイブス高めのCJ。腐ったシーンについて持論を提示。それに対し裂固は、「シーンが腐ってても自分が腐ってなきゃいいんだよ」と完璧にアンサー。CJもカッコよかったが、内容もスキルも裂固が上回っていた。
勝者 裂固
第10試合 GOMESS vs じょう
対話がしたいことを主張するGOMESS。対するじょうは、ある程度会話を交えながら持ち前のライミングとディスを展開していく。試合が決まったのは、GOMESSの「お前、いじめられてたらしいな。なぜこれまで言われてきたことを(MCバトルで)相手に返す?」というライン。会場がぶち上がり、GOMESSの勝利が決まった。
勝者 GOMESS
第11試合 T-TANGU vs U-mallow
同年代の2人が対決。戦極20章の本戦という大舞台にお前は似合わないとディスるT-TANGU。U-mallowは必死に弾き返そうとするが、最後まで持ちこたえられず。
勝者 T-TANGU
第12試合 Amaterasu vs 左流
Amaterasuは相変わらず自身のスタイルを一切崩さない。左流は、言葉を詰め込みながらも流れるようなフロー観客を沸かせる。左流もカッコよかったが、Amaterasuの徹底したセルフボースがこのバトルを支配した。
勝者 Amaterasu
第13試合 鉄ちゃん vs ふぁんく
「なんで俺がゲストバトラーなんだよ、正社員ん!!」「いろいろネタ考えてきたけど、全部忘れた」という素直で面白いラインを展開する鉄ちゃん。会場はかなり盛り上がっていた。面白かったけど、地力の部分でふぁんくが勝利。
勝者 ふぁんく
第14試合 スナフキン vs Mr.Q
スナフキンが「火をつける」ことはYouTubeのコメント欄で話題になっているのだが、スナフキンもそのことを知っているようで、「火をつける回数とか数えなくていいから」とバースを蹴ると、会場は大盛り上がり。スナフキンが勝利。
勝者 スナフキン
第15試合 CIMA vs フランケン
熱韻スタイルで盛り上げるCIMA。対するフランケンも「豊洲のポセイドンである俺に勝てると思ってんの?」「お前が釣ったブラックバス、俺が倍額で客に売ってやるよ」と面白いバースを蹴るが、CIMAのオーソドックスなスタイルを崩すことができず。
勝者 CIMA
第16試合 PONEY vs ベル
「名」というよりは、「迷」勝負だった。PONEYは3バースすべての小節末を「ナイスパニック」で締めており、そのことに対し、ベルは冷静に「いや、さすがにしつこいよ」と常識人として的確な注意。しかし、最後にはベルもラストバースを「ナイスパニック」と蹴って締めており、なんだか面白い勝負になった。
勝者 PONEY
戦極20章 ベスト32(シード戦)
第1試合 百足 vs GIL
フレッシュなラップで、戦極17章王者であるGILに立ち向かう百足。対するGILは、「バトルで勝つためだけにできあがったようなスタイルのやつに負けるはずがねえ」とベテランの風格を見せつける。これに火が付いた百足、若手の意地を見せ、「ベテランのあんたらはさっさとどけ!」的なバースで食い下がるも、「ベテランでやり続けることがお前にできんのかよ?」というGILの筋が通ったラインの前に撃沈。
勝者 GIL
第2試合 Authority vs BATTLE手裏剣
あんまりかみ合わない2人。Authorityの3バース目、「とぐろを巻く、息を巻く、あんたも舌を巻く」というライミングで会場が湧き、そのまま勝利。
勝者 Authority
第3試合 呂布カルマ vs MC松島
曲者同士の対決。MC松島の「最近、意外と負けてる呂布カルマに勝ってもあんまり自慢にならなさそう」というディスに対し、「先のある若手に譲ってもいいが、お前にはなあ」と完璧に返す呂布カルマ。やはり地力が違う。
勝者 呂布カルマ
第4試合 梵頭 vs SKRYU
SKRYUのシャツをディスる梵頭。SKRYUはそんなディスもお構いなしに、セルフボース強めのラインを展開。「俺を見たいって思ったやつを正義にさせる!」という男気満載のパンチラインで会場をロック。梵頭を支持する声も多く、互角に思われたが、僅差でSKRYUが勝利。
勝者 SKRYU
第5試合 Novel Core vs 漢
ライミングとひねりの効いたディスで攻め立てるNovel Core。「まだいけるか?まだいけるぜ!」という一網打尽の漢のバースをサンプリングし、勢いに乗る。しかし、のらりくらりと攻めてくる漢を止めきれない。戦極18章が思い出されるような。
勝者 漢
第6試合 だーひー vs 阿修羅
バイブス同士のぶつかり合い。スタイルが噛み合っていたので、かなり熱いバトルだった。阿修羅もカッコよかったが、だーひーのカッコよさがそれを上回る。
勝者 だーひー
第7試合 早雲 vs TKda黒ぶち
前のバトルでネガティブな面を主張した早雲に対し、「俺のヒップホップはネガティブじゃねえ」と攻めるTKda黒ぶち。早雲は、「光そのものを見せるわけじゃない、その裏の闇を見せる」と返し、「HIPHOP、愛がど真ん中に入ってんだ」というパンチラインを打ち込んだ。会場は早雲に傾きかけたが、TKda黒ぶちが早雲のラインに自分の熱量を上乗せし、戦況をひっくり返す。土壇場の強さを見せたTKda黒ぶちの勝利。
勝者 TKda黒ぶち
第8試合 ScoobyJ vs ミメイ
互角の試合だったが、僅差でScoobyJが勝利。
勝者 ScoobyJ
第9試合 SAM vs 裂固
SAMは落ち着いた様子でたんたんとラップを披露。いつも通りな裂固とは対照的だった。一流同士、バトルは延長へ。韻の踏みあいになるが、SAMの「俺のマイメン(IDのこと)が3代目になるんだ、負けられねえな!」というラストバースが会場をぶち上げ、SAMの勝利。裂固は本当に悔しそうだった。
勝者 SAM
第10試合 GOMESS vs 韻マン
いつも通り韻を踏む韻マンに対し、「韻のその先に何があるんだ?」と説くGOMESS。韻マンは「ただ楽しく韻を踏めればいい」と返すが、GOMESSは「そうか、でもさっき反逆のルルーシュを2回使いまわしてたぞ、まだまだなんじゃないのか」と説教をかます。これに会場が大盛り上がりした。まさかGOMESSがこんなに強いとは、会場中がそう思っただろう。
勝者 GOMESS
第11試合 RAWAXXX vs T-TANGU
個人的優勝候補であるRAWAXXXが登場。意外と熱量が低い様子で、同じことを言っているバースが何度かあった。T-TANGUは、相変わらずの固いライミングを武器にRAWAXXXを攻め立てる。2回の延長を経て、安定して攻め続けたT-TANGUが勝利。
勝者 T-TANGU
第12試合 Amaterasu vs ハハノシキュウ
Amaterasuは、持ち前のセルフボースの強さでハハノシキュウを攻め立てる。それに対しハハノシキュウは、「前に縄跳びやって一度消えたよな、お前のレベルはにゃんこスターってことだよ」と攻め返し、互角の展開になった。しかし、なぜかハハノシキュウが3バース目でいきなりキレ始め、支離滅裂になってしまう。消去法的にAmaterasuが勝利。
勝者 Amaterasu
第13試合 ふぁんく vs ID
ふざけまくるふぁんく。IDはひたすらにカッコいいラップをし続けていたのだけど、IDが真面目なほどふぁんくのおふざけが引き立てられる。
勝者 ふぁんく
第14試合 智大 vs スナフキン
おしゃれなビートがかかり、バトルは2人のセッションのような状態に。智大のバトルは、バトルという垣根を越えて、相手と作り上げるひとつの音楽になってしまうことが多い。スナフキンが勝利するが、勝敗の枠を越えたアートのようなバトルだった。
勝者 スナフキン
第15試合 NAIKA MC vs CIMA
KOK2018の開幕戦を担った2人が激突。NAIKA MCのことを「毎回同じで意外性がない」ディスるCIMA。対するNAIKA MC、持ち前の声量を活かし「それはお前も同じだろうがよ!」と吹き飛ばす。CIMAの熱韻も冴えていたが、今回はNAIKA MCの勢いがそれを超えていた。
勝者 NAIKA MC
第16試合 晋平太 vs PONEY
お互い長くやっているからか、変なディスり合いや韻の踏み合いはしない2人。2人の掛け合いにストーリー性があって、聞き応えのあるバトルだった。最後には、晋平太の熱量がPONEYのフローを上回る。
勝者 晋平太
戦極20章 ベスト8
第1試合 GIL vs Authority
先攻のGILは、「東北の看板、お前にはまだ早い」というGILにしかはけないディスでAuthorityを攻め立てる。GILという猛者を前に、徐々にエンジンがかかってくるAuthority、いつものライミングに加えて強い意志のこもったバースで打ち返す。GILはさすがの安定感で盤石なラップを披露していたが、Authorityの3バース目の最後「いつもは背中を見てた、今回は俺の背中を見せてやる」というラインで会場が爆発。
勝者 Authority
第2試合 SKRYU vs 呂布カルマ
安定のリズムキープと切れ味抜群のディスで、SKRYUを追い込む呂布カルマ。勢いのあったSKRYUだったが、返しきれず敗北。
勝者 呂布カルマ
第3試合 漢 vs だーひー
だーひーが漢に挑むような構図になった。草ネタと、珍しくフローで魅せる漢に対し、だーひーは一切スタイルを曲げず、真正面からぶつかっていく。「新宿スタイル、チンピラ集団、俺がやらなきゃ誰がやるんだ!」というパンチラインも生まれ、これはだーひーが勝利するかと思われたが、漢の3バース目「ズボンと一緒でまだ青いケツ」のラインで一気にひっくり返った。
※だーひーは空色のハーフパンツをはいていた
勝者 漢
第4試合 ScoobyJ vs TKda黒ぶち
持ち前の声とライミングを武器に勝ちこむ、ScoobyJ。対するTKda黒ぶち、バイブスでそれを倍返しにする。両者一歩も譲らず、拮抗した状態が続くが、「引いた引き金、ざまあみやがれ」など、ScoobyJのイカしたライミングが続き、ScoobyJが勝利。
勝者 ScoobyJ
第5試合 SAM vs GOMESS
ここまで、破竹の勢いで勝ち上がってきたGOMESSと、フリースタイルダンジョン2代目モンスター裂固を倒し勝ち上がってきたSAMの対決。GOMESSは変わらず自分のヒップホップを相手に説くが、SAMはそれに抗うでもなく、受け入れてたんたんとライミングを返していく。GOMESSも、それでは特にいうこともないようで、普通にSAMが勝利した。
勝者 SAM
第6試合 T-TANGU vs Amaterasu
因縁の対決である両者。これでもかというくらい踏みまくるT-TANGUと、徹底したセルフボースで観客を沸かせるAmaterasu。決め手になったのは、Amaterasuの「格が違う? 額が違うんだよ」というライン。T-TANGUがいった格の違いという言葉を拾い、見事にアンサー&ライミングをしてみせた。
勝者 Amaterasu
第7試合 ふぁんく vs スナフキン
このバトルでは、珍しくふぁんくが本気に見えた。スナフキンという強豪を相手に、しっかりやらねばという思いでもあったのだろうか。両者互角の内容で、私はスナフキンに挙げたけど、会場はふぁんくを支持。
勝者 ふぁんく
第8試合 晋平太 vs NAIKA MC
今大会、おそらくベストバウト of ベストバウト。戦極10章から戦い合っている2人のストーリーがテーマとなり、2人ともいつもの倍くらい熱くなっていた。普段から熱い2人だから、会場の熱気は普段の4倍くらいに。最終的には晋平太が勝利。私は、NAIKA MCの「このタイトル、まだまだ若手にはやれねえよなあ」のラインでぶち上がった。
勝者 晋平太
戦極20章 ベスト4
第1試合 呂布カルマ vs Authority
実はこの2人、凱旋MCバトルで一度戦っており、その際はAuthorityが勝利をおさめている。呂布カルマはそのことを根に持っており、「今日は挑戦者としてやらせてもらう」とバースを蹴った。韻とバイブスで応えるAuthority。Authorityは一度勝利していることで油断もあったのか、チャンレジャーとして迫ってくる呂布カルマの勢いを止められない。呂布カルマの勝利。
勝者 呂布カルマ
第2試合 ScoobyJ vs 漢
ScoobyJは、憧れの存在である漢に対し、リスペクトを込めながらディスをはいていく。漢は、それを受け止めながらもあまり興味がない様子で、マイペースにバースを蹴っていく。リスペクトゆえにディスり切れないScoobyJ。ぶれない漢の前に敗北。漢の芯の太さを実感したバトルだった。
勝者 漢
第3試合 Amaterasu vs SAM
お金の力を信じるAmaterasuと、お金ではなく仲間との絆を信じるSAM、完全なスタイルウォーズになった。Amaterasuのセルフボースの強さは相変わらずだったが、SAMの「慶應だっけな。漢字が書けても肝心なものが欠けてるんじゃクソなMCだぜ」というラインで会場が今日一番の盛り上がりを見せる。SAMの勝利。
勝者 SAM
第4試合 ふぁんく vs 晋平太
申し訳ないことに、聞き入っていてメモを忘れた……。
勝者 ふぁんく
戦極20章 準決勝
第1試合 呂布カルマ vs 漢
奇しくも、戦極18章の決勝戦と同じ構図に。「今日は2回もリベンジできる。チャレンジ第2章だ」と、ベスト8同様に挑戦者の姿勢を崩さない呂布カルマ。「木の棒、でくの坊、べきだと思う」と細かいライミングスキルも魅せつけていく。対する漢、珍しく倍速で取って乗せるフローを披露。しかし、内容がいまいちで呂布カルマにも会場にも刺さらない。チャレンジャー精神の呂布カルマが、勢いそのままに雪辱を果たした。
勝者 呂布カルマ
第2試合 ふぁんく vs SAM
ビートはふぁんくが選択し、16×2に。「優勝賞金で嫁さんのお尻をぺんぺんする」というネタでふざけ倒すふぁんく。それに対しSAMは、家庭をもつふぁんくに羨ましいと言いながらも、「億万の富、ムーンライトトリップ」と固いライミングで対抗する。ふぁんくも負けじと「羨ましい、裏話、こないだ風俗いってきましたぁ!2回も!」とおふざけ&ライミングで返す。これはふぁんくがいくかと思われたが、さすがはSAM、「下ネタラップ、みんなが俺を認めるチャンス!」と6文字の韻を決め、勝負は延長へ。延長では、お互いに決め所がなかったのだけど、なぜかふぁんくがラストバースでぐだついてしまい、SAMが勝利を収めた。
勝者 SAM
戦極20章 決勝
決勝戦 呂布カルマ vs SAM
ついに始まった戦極20章決勝戦。役者は、KOK2018王者である呂布カルマと、戦極19章王者であるSAM。決勝の舞台には、やはり、それなりの実績を積んだやつが上がってくるもの。百足やAuthority、9forやNovel Coreなど、強くて上手くて若いMCは沢山いるが、ここに割り込んでくるにはまだ早いようだ。
挑戦者としての姿勢をそのままに、先攻として勝ちこむ呂布カルマ。全盛期に比べるとディスの切れ味が丸くなったような感じはあるが、それでも切れ味は抜群。対するSAMは、呂布カルマのディスに対し、同等かそれを上回る勢いでライミングを重ね、やり返す。「トラブルメーカー、止まる気ねえんだ」「ぶつかり稽古、物足りねえぞ」など、とにかく韻を踏みまくる。また、SAMは韻の踏み方がうまい。観客に分かりやすいよう韻を踏むから、ライミングのたびに会場が湧き、どんどんSAMが有利になる。さすがの呂布カルマでも、この状況をひっくり返すのは難しく、五分で持ちこたえるのが精いっぱいなようだった。さらに、最後のバースでSAMが魅せる。「過去を振り返るんじゃなく、俺が塗り替えるんだよ!」というパンチラインで、会場が爆発した。SAMも確かな手ごたえを感じたようで、バースを蹴り終えたあとも自信満々の表情。ホストの八文字が、観客に歓声を求める。もちろん、会場はSAMを支持した。
勝者 SAM
戦極20章 決勝戦を制し優勝したのは「SAM」
戦極20章を優勝したのは、栃木の凄腕ライマー、SAMだ。19章の団体戦に引き続き、戦極のナンバリングシリーズを連覇したことになる。シード戦ではあまり元気がないように見えたので、今回もいいところまでいって負けてしまうのかなと思っていたけど、まさかの優勝。優勝予想では全く候補に挙げていなかったので、本当にMCバトルというのは何が起こるのか予想がつかない。
戦極20章 個人的ベストバウト
戦極20章の個人的ベストバウトを3つ挙げようと思う。
1.百足 vs GIL
GILは、毎回やる気のないような感じで出てくるんだけど、ラップに対する芯の通り方が尋常じゃないくらい熱くて、スキルだけの若手では勝てないんだなということを再確認させてくれた試合。百足のスキルもすごいカッコよかったんだけど、観客はスキルだけに魅力を感じるわけではないのだろう。「GIL、強いなあ」と純粋に思ったバトルだった。
2.GIL vs Authority
またもやGIL。今度は、若手がGILを越えた瞬間。Authorityは、もちろんスキルフルでカッコいいMCなんだけど、芯の通り方がスキルだけの若手とは一線を画しているように思う。だから、呂布カルマもAuthorityのことを認めたのではないだろうか。変わらずラップの芯を通すGILに対し、バイブスとライミングで男を魅せたAuthority。実に熱いバトルだった。
3.晋平太 vs NAIKA MC
多分、ベストバウトになるんだろうなあと思う試合。正社員も気に入っていたようだし。長い間、積み上げてきたものがある2人だからこそ交わせる言葉があって、それに感動してしまった。
戦極20章 感想まとめ
全体を見ても、とてもレベルの高い大会だったなあと思う。正直、UMB2018より、全体の平均値は段違いでレベルが高いだろう。ゲストバトラーというシステムを採用しており、ある程度のレベルの高さは担保されるものだから、UMBと差がつくのは仕方がない。また、強いだけじゃなく面白いMCもたくさんいて、エンターテインメント性の高さも感じた。鉄ちゃんとかフランケンとか。1点だけ、UMBやKOKに劣るポイントがあるとすれば、システムや運営の雰囲気の違いによる「ガチンコ感」だろう。これは方向性の違いによるものなので、ただ単に違うというだけ。本当に素晴らしい大会でした。はい、また1万文字を越えたので、この辺で終わりにします。
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▽戦極18章の記事もあるよ